相続や相続税で弁護士・税理士への相談は必要か
数年前に大病を患い、自分の死後について考える機会がありました。
闘病でやせ細ってしまう前に、遺影用の写真を撮影しました。
見学を重ね、寝屋川で家族葬をするならここだなぁ、という葬儀場を見つけました。
年齢なりの資産もあったので、相続について遺言書の準備もしました。
遺言書の作成や家庭裁判所での調停・審判は弁護士、相続税の申告書作成、不動産の鑑定などは税理士が専門としていますが、必ずしも相続が発生したら弁護士や税理士へ依頼をしなければならない訳ではありません。
企業の経営者や遺産総額が多い人、相続で弁護士や税理士に頼んできた人などは迷わず相談するでしょうし、自分で手続きしようと思っていたとしても判断はできるでしょう。そのため、ここでは相談するかどうか迷っており決心がつかない人やこれまで全く相談する予定はなかった人にとって相談が必要かどうかをまとめておきます。
弁護士への相談が必要な人
弁護士への相談を検討する場合、大きく分けて、相続前の遺言書の作成と相続後の家庭裁判所への申し立て支援が考えられます。
1 遺言書の作成
遺言書には公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類あります。一からすべてサポートを受けながら進める場合とワンポイントだけ依頼する場合があります。たとえば公正証書遺言は公証役場で遺言書を作成しますので、財産の一覧を作成し、その財産の分割方法など遺言書に書く内容を決められるのであれば、相談は不要です。ただどのような内容を書くかわからない人や自分で公証役場で行くのは不安な人は遺言書の作成についてアドバイスを受けることになります。特に自筆証書遺言などは相続が発生するまで法的要件を満たしているかどうかわからないのは不安なので、弁護士に確認してもらうこともできます。なお、遺言書の作成は司法書士や行政書士でも可能です。
2 家庭裁判所への申し立て
遺産分割協議で分割方法が調わなかった場合、家庭裁判所で話し合うことになります。家庭裁判所では調停と審判があり、調停は法の専門家に立ち会ってもらい話し合います。調停でも調わない場合は審判で裁判所が法定相続分に従って分割方法を決めます。この一連の流れで、自分で進めるのは心配な人は弁護士に依頼するといいでしょう。
税理士への相談が必要な人
税理士への相談を検討している人は、財産に不動産が含まれている人、相続税の申告の手間を考えて代行をお願いしたい人などが考えられます。
1 財産に不動産が含まれている
相続税財産は、種類によって評価方法が決められています。特に不動産は複雑で、特例を適用できれば評価額が下がるなどメリットがあります。税務署で相談すればどのような特例があり、適用できるかどうか指導してもらえるかもしれませんが、どの制度を適用すれば節税できるかなどテクニック的なアドバイスはしてもらえない可能性があります。
そのため、現金以外の財産を持っている場合、どのように評価すばよいか、知識と経験のある税理士に頼むと最適の方法を選んでもらえる可能性が高くなります。
2 相続税の申告
相続税の申告書を書くだけで、かなり時間がかかるでしょう。相続税はかからない、相続人は複雑ではないような比較的難易度が高くないケースでも、申告を代理してもらうために税理士へ依頼することもできます。